インクルダイバー働き方セミナー開催報告

働くことは人生において重要な要素です。金沢市と金沢青年会議所が「誰もが生き生きと働ける社会づくり」のため、市内企業にアンケートを実施したところ、経営者・従業員ともに70%以上が人手不足を感じているという回答を得ました。

今後企業が成長していくためには、多様な人材の活躍が不可欠です。

そこで今回は業務改善・オフィスコミュニケーション改善士である沢渡あまね氏をお招きして、「そろそろ、『働き方イノベーション』を起こしませんか?」と題し、インクルダイバー働き方セミナーを開催しました。

日時 2019年12月4日(水)14:00~17:00
会場 金沢市文化ホール2F 大集会室
参加者 50名

第1部

アンケート結果発表

第1部では、2019年9月に実施した、「誰もが生き生きと働ける社会づくり」のためにアンケートの結果報告が行われました。アンケートの回答数は、市内企業の経営者より110件、従業員より217件です。

女性管理職の割合は約7割の事業所で5%未満となっています。


「人員不足を感じるか」という問いに対して、「感じている」との回答が約7割にのぼりました。


「ダイバーシティの必要があるか?」という問いには、「増やしていく必要がある」という回答が多数でした。

増やす必要があると答えた理由としては、「多様な人が働ける環境なら気持ちよく働ける」、増やす必要がないと答えた理由としては、「文化や考え方の違いからコミュニケーションがとりづらい」などがあげられました。


「女性の活躍推進について取り組んでいるか?」という問いに対しては、半数以上の企業が「取り組んでいる」と答えています。

取り組みの内容としては、性別にとらわれない人事制度や女性の継続就業を目的とした支援などがあげられました。取り組む理由で多かったのは「女性が能力を発揮することで生産性、競争力が強化される」。取り組まない理由で多かったのは「女性の意識が伴わない」「必要性を感じない」などでした。

第2部

第2部の前半は、講師の沢渡あまね氏のリードのもと、「職場の問題かるた」大会からスタートしました。

沢渡氏は、本当の「働き方改革」のキーワードとして、

  • 「見える化」
  • 「言える化」
  • 「自分の勝ちパターン」を認識して、実践する

の3つをあげています。

業務の改善には、まず「見える化」から。業務プロセスや仕事量が可視化されないことには始まりません。

次の「言える化」は、実行するために何らかの工夫が必要とのこと。なぜなら何もないところからは意見が出てきにくいからです。

沢渡氏は「言える化」のポイントとして、

  1. スキを作る。
  2. きっかけを作る
  3. テーマを決める

をあげていました。

今回のかるたは、そのうちの「テーマを決める」にあたります。職場の問題テーマを決めるためのかるた大会が始まりました。

テーブルごとに分かれて、かるたを並べます。

和気あいあいとした雰囲気の中、熱戦が繰り広げられました。

各かるたには、よくある職場の問題が描かれています。

例)
「い」言った言わない、今日もまた
「ち」中途社員の居心地が悪い
「む」ムダをムダだと気づかない
「ほ」本音を言わないメンバーたち
「め」目先の仕事で手一杯

ゲーム終了後、各自が取った札の中から、共感できるものを2枚選びます。

全体で特に共感が高かったものをピックアップして沢渡氏が解説してくれました。

「わ」私が倒れたらどうするの?

ここでは、「仕事の属人化」が職場の問題になっていると指摘されました。それぞれのスタッフがどのような仕事を持っているのか、正しく言語化して、外からでも分かる形にする必要があるとのこと。人には承認欲求があり、重要な情報ほど話したがらない傾向があるため、仕事を人質にしてマウンティングしてしまうケースがよく見受けられるそうです。全員共通で知っておくべき部分と、属人化しても構わない部分を明確にしておくことで、この問題をクリアしていくべきとのアドバイスでした。

前述の、本当の「働き方改革」の3つのキーワード

  • 「見える化」
  • 「言える化」
  • 「自分の勝ちパターン」を認識して、実践する

において、生産性のあがっている会社は組織単位で上位の2つ「見える化」「言える化」を回せている、と沢渡氏。ただし、状況は職種によって変わるし、時代によっても変わるし、メンバーによっても変わります。そのときに、重要になるのが3つ目の「勝ちパターン」を認識することだそうです。

見える化と言える化を繰り返して、改善策を模索しながら、ひとりひとりがその改善策を実践していくことが、自分の勝ちパターンにつながっていくとのことです。


第2部の後半は、「仕事を科学しよう」というお題のもと、まず形骸化した慣習の取り扱いについて解説していただきました。

沢渡氏は、形骸化した慣習を「仕事ごっこ」と表現。生まれた当初は合理性があったが、時代や環境の変化、価値観の変化、技術の変化にともなって、生産性やモチベーションの足を引っ張る厄介者と化した仕事と慣習・・・、確かに身の回りにもたくさんありそうです。

ハンコリレーや、請求書の原本の郵送など、事業の本質に関係ない「仕事ごっこ」を減らしていかないと、事業そのものを蝕んでいくと警鐘をならしました。

「仕事ごっこ」を具体的に理解するために、物語の朗読が行われました。

「白ヤギさんと黒ヤギさん」

内容は、白ヤギさんが黒ヤギさんに手紙を出したけれど、あて先不明で戻ってきたという、紙の書類のムダ、印刷~押印~郵送のムダについての話です。

朗読を聞いた後、各テーブルにおいて参加者同士で話し合いをします。ある参加者からは、「以前勤めていた会社ではハンコリレーが行われていたが、今の会社では、誰もが立ち寄る場所に書類を置いておき、各自が出向いてハンコを押す方式にしている」という具体的な事例が発表されました。それに対し沢渡氏は「書類の所在も分かるし、雑談もできる、アナログだが面白い発想」との感想を述べました。

その後も、ビジネスマナーの弊害や、提案泥棒、ダイバーシティごっこなど、具体的なテーマを持ったお話の朗読がおこなわれ、各テーブルでは活発な意見交換がおこなわれました。

朗読で話されたテーマに共通していたのは、「昔ながらの慣習を疑ってみよう」ということ。

時代遅れになっていないか。メリットどころかリスクになっていないか。ハンコは本当に必要か。電話は相手の時間を奪っていないか。メールは本当に便利か。ビジネスチャットやSlack(スラック)にアップデートできないか。私たち一人ひとりが身の回りにある慣習を一度振り返ってみる必要があるのかもしれません。

沢渡氏は「これからはコラボレーションの時代」と話します。

「かつての日本企業はトップを頂点とするピラミッド型だった。上に沿ったやり方で仕事をしていけばよかった。昔はこれで合理性があったし、勝てていた。でも今はそうではない。トップに答えがない時代。これからは、ピラミッドではなくコラボレーション型で、つながって、掛け合わせて、組織を成長させていく必要がある。」

沢渡氏は、「取引」ではなく「協創(コラボレーション)」をしていかないといけない。旧来の「取引」の関係性のまま、相手に無理やりコストを下げさせる。煩雑な契約手続きや事務手続きが相手の時間と体力と気力を奪う。稟議や意思決定に手間と時間がかかる。その状況を放置していては、国力が下がる一方と危惧します。

「これからはコラボレーション&イノベーションの時代。環境の変化に伴って、負けパターンに陥ってないか、よく振り返ってほしい。積極的な学習と育成、発信と受信をしていく必要がある。組織や各課の本来の価値を見直して、本来の価値にそぐわないものは削減する勇気をもってほしい。組織が2.0に変わっていくためには、既存の枠組みではなく、組織の壁を越えて、コラボレーションで問題解決してほしい。」

情報をオープンにすることの重要性を説きながら、参加者を強く勇気付けていました。

ダイバーシティとインクルージョンは、これからの時代の組織運営に不可欠な取り組みになっていくことに間違いありません。多様な人材を認め合い、それぞれが相互に機能し合えること。一人ひとりが、自分の本来価値に気づき、高めながら、つながっていくことで、金沢をより強いまちにしていくことができるかもしれません。

沢渡さん、ありがとうございました!

【取材・編集】子育て向上委員会 長谷川由香